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4. 三次元的に扱う柱と梁

4.1 座標系の解釈と選択


4.1.3 マトリックスの成分を標準化する

 式(4.1)は力と変位との関係を示す弾性条件式の一般形です。マトリックス部分を変位のマトリックスFEMの用語ではflexibility matrixと言います。力と変位の向きに注意し、対角線要素を必ず正に揃え、弾性エネルギーの計算に矛盾が生じないように、また、このマトリックスが対称になるように成分の符号に注意します。数学的には、このマトリックスの逆マトリックスが定義できますので、こちらを剛性マトリックス(stiffness matrix)と言います。変位のマトリックスは代数的な記号表現ですが、材料力学の課題として扱うときは、変数記号の、単位系と数値の表し方に注意が必要です。応力とそれに対応する変位との積は、仕事(または弾性エネルギー)の単位で揃えます。例えば、単位がkgf-cm,kg-m, tf-cm, tf-mの混用にならないようにします。力が作用しても、実質的には変形が小さい場合、または変形が出る個所であっても、力を考えなくても済む場合は、その力と変位に関係する部分を省きます。トラス部材は、軸力一成分だけを考えます。平面構造力学として扱う梁は、三成分を扱います。これらは数学的な仮定です。材料力学では、実際構造が三次元的な部材であることを考えて数学的な解析を応用します。実際の構造部材に応用するとき、仮定で省いた力と変形を扱う必要があるかないかの吟味が必要です。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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