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3. 二次元弾性体の応力と変形

3.1 摩擦と剪断


演習例題 3.1

  (1)鋼リベット材の許容剪断応力度を、τ=800 kg/cm2として、直径22mmのリベットの強度(単剪強、複剪強)を求めよ。
図3.2 リベット継ぎ手
(解:3041kg, 6082kg)
解説:リベット径は、材料に使う鋼棒直径の寸法が7/8インチであるのをミリメートルに換算した呼び寸法で言います。実務用の計算はmmの寸法を使います。なお、板に空ける穴の寸法は直径25mmとしますが、これは1インチ長さをmmで換算した呼び寸法です。リベットの剪断面に作用する剪断応力度は、断面に等分布すると仮定します。リベットは、複剪で使う方が効率的です。なお、リベットは、ボルトのような、軸方向への引張力を受けると使い方を避けます。なお、板の方に注目すると、穴の側面にリベット径からの支圧力を受けます。

(2)板厚10 mm、幅250 mmの鋼板の許容引張応力度が1400 kg/cm2であるとする。この板を脚長8mmの隅肉溶接(fillet welding)の全強で繋ぎたい。溶接長を求めよ。ただし溶接部の剪断許容応力度を800kg/cm2 とする(図3.3a)。
図3.3 隅肉溶接継手
解:77cm)
解説:溶接部は、剪断応力度で力を伝えるように構成します。実際の溶接は、板の側面だけでなく、断面側にも溶接します。これを前面隅肉と言います。作用する剪断応力度の向きが直交しますし、応力度が最大になる面が図3.3cの45°ではないのですが、便宜上、隅肉溶接と同じ計算を使います。なお、実際の溶接長は、計算上の長さに、幾らかの予長を加えます。

(3) 幅25cmの木製角材を=5 tfの引張力で使うとして、図3.4の形で継ぎたい。引っ掛かり部の寸法を決めよ。木材の繊維方向に平行な面での許容剪断応力度を8kg/cm2、受圧面の許容支圧応力度を60kg/cm2とする。
図3.4 木材の引張継手の一例
(解:=3.3cm、=50 cm
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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