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2. 簡単なトラスの応力と変形

2.2 簡単な不静定トラス


演習例題 2.2

図2.9
(1) 図2.12の部材構成は一次の不静定トラスである。部AD, CDは鋼棒で、断面積AS=10cm2である。部材BDの材質は銅であって、断面積はAC=20cm2である。格点DにP=5tfが作用するとして部材応力度と撓みを計算せよ。ただし、ヤング率は、鋼材と銅材とでは、ES=2.1×106kgf/cm2、EC=1.0×106 kgf/cm2とする。
解説:
 不静定構造物を解くときは、どの部材を不静定部材とするかを考えること一つの興味の焦点です。解き易い静定構造系になるようにします。この例題は、左右対称形ですので、中央の部材をO点で切断して、部材OBの部材力を不静定力とするのがよいでしょう。OA,OCで構成する構造は、図2.5と同じです。ここでの例題は、一次の不静定トラスを扱うようにしましたが、これは、前の第1章1.4節で解説した組み合わせ部材の不静定問題と同じです。材料違いの構造を扱うときは、主材料に対して、別の材料の断面積をヤング率の比で換算して計算に使うのが実践的です。この考え方は、前章1.2.3項で説明しました。なお、荷重の作用点で、その荷重方向の変位を計算するときは、エネルギー法を使うのが簡明です。この計算例は前節の問題(4)に参考として示してあります。計算原理は、外力のした仕事と、部材内部に蓄積された歪みエネルギーとが等しいと置くことです。なお、エネルギーと仕事との関係式はU=Pδ/2の形を持ちます。しかし、実践的な表計算では、係数2を省くことが多いので例題計算を見るときに注意します。解と、解までの計算手順の説明を省きましたので、この解説をヒントとして解いて下さい。

図2.9
(2) 等断面A=15cm2の鋼棒により図2.13のトラスで、P=10tfの横力を受けるときの、各部材の応力を求めよ。またC点の変位(垂直と水平)を求めよ。ただし、ヤング率を2.1×106kgf/cm2とする。
解説:
 この例題は、図2.6の二つの片持ちトラスを90ど回転して一つにまとめ、部材BCを追加した構造になった一次の不静定トラスです。部材数と支点での拘束条件をいれて、不静定次数の確認をして下さい。部材数が一本余分ですので、どれを不静定部材にするか、の選択が悩ましいところです。いずれにしても、外力の作用によって、残った静定トラスを解いて、不静定部材の両端での長さの変化分を計算しなければなりません。不静定部材に作用する力の向きを、外力Pの向きと合わせると、解き易くなります。したがって、この問題では部材BCを不静定部材とするのが適当です。この部材を格点BまたはCのどちらかで切り離し、片持ちトラスの一方に接続させておきます。接続の考え方は、前の1.2.2項で解説した直列部材です。不静定力の計算は、並列部材を解くことになります。解を示しませんが、各自で挑戦して下さい。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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