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2. 簡単なトラスの応力と変形

2.1 静定トラス


2.1.6 立体トラスの支点も仮想の部材を考える

図2.3 立体トラスの支点での力の成分
 構造物は、基本的に立体構造物です。実用される構造は、解析の手間を簡単にするため、平面トラスを面で扱い、全体を箱のように組み立てます。面単位のトラスは、独立に平面トラスとして解析できるような構造が工夫されます。単独で形が崩れない立体トラスを大地と繋ぐ支点が必要ですが、トラス全体に作用する外力と釣り合う支点の反力成分を、擬似的な追加のトラス部材で受けます。図2.3にその力学モデルを示します。
 一体物の立体的に安定な構造を支える方法は、机や椅子にあるように、4脚支持が普通に見られます。しかし、日常経験するように、4脚支持であると一本の脚が遊ぶことがあって、ゴムなどの弾性材料を挟んで不安定さを解消します。単純な橋梁は、平面的に4ヶ所に支承沓を使います。その機構的な構造は図2.3の力学原理を踏まえます。支承は、反力を受けることが目的ですが、移動と回転を許す構造でもあることに注意します。図2.3aは水平2方向、図2.3bは水平1方向に移動を許す構造です。4ヶ所で橋梁を支えるときは、図2.3bと図2.3cの原理の支承を一か所ずつ、図2.3aの原理の支承を二ヶ所使います。そうすると、反力成分相当の部材数が7本になります。全体の釣り合い条件は、力とモーメントとを含めて6成分ですので、外的に1次の不静定支持になります。橋梁では全体構造の弾性変形などを考えてこの不静定条件を解決しますが、4脚の机や椅子がガタつくときは、弾性的なクッション材で解決しています。外的に静定で安定である条件式では、式2.2の右辺の6を省きます。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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