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2. 簡単なトラスの応力と変形

2.1 静定トラス


2.1.7 連続体のモデル化

 実際の構造材料は、見掛け上、或る連続した外形を持っています。理論的に扱う数学モデルは、マクロに見て均質な連続体の仮定を使い、微分方程式で解析できる条件を考えます。しかし、与えられた条件から数値計算をするときは、飛び飛びの(離散的:discrete)注目点を決めて、有限個数の座標点で計算します。それならば、最初から飛び飛びの座標位置を考えた解析方法を工夫したいところです。この方法の一つは、微分方程式(differential equation)に代えて、階差式(difference equation)を使うことです。しかし、これらの式で解析できるのは、数学的には条件が非常に限られた場合であって、現実に解きたい複雑な形状などに応用することができません。そこで、コンピュータの助けを借りて、数値計算に適した有限要素法(FEM:Finite Element Method)が提案されるようになりました。このアイディアは1943年まで遡るとされていますが、ジンクビッチ(O.C.Zienekiewicz(1921- 2009)がダム構造の解析に応用する提案をし、それを元にして1967に書いたテキストが多く参照されました。FEMは、幾何学的には、擬似的に接点数と部材数の非常に多い骨組み構造を仮定します。必ずしもピントラスでモデル化ができませんが、構造力学的に見ると、非常に不静定次数の大きな構造です。FEMは、数値計算法の立場から解説しますので、この材料力学では取り上げません。この節では、手計算の範囲で解が得られるような、静定トラスの基礎的な知識を埋める問題を説明します。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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