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1. 引張材と圧縮材 |
1.4 温度応力・残留応力などの不静定問題 |
1.4.1 解説 |
図1.11 二つの材料の組み合わせで作られている部材があって、一方が他方に較べて温度差があると、そのままではは歪みに食い違いができます。一体化になっているときは、この歪みを打ち消すように内部で応力の変化が生じます。この問題を解く考え方を説明します。 1)まず、二つの材料の、相互の結合を緩めて、自由に変形させます。 2)温度差応力を計算するときは、温度膨張係数を使います。鋼材、コンクリート材では、α=1.2×10-5/℃です。 3)次に外から仮の力を作用させて、この変形を無くすようにします。図1.11では下側の部材に圧縮力を作用させますが、上の部材に引張り力を作用させても結果は同じになります。このときの応力度は、σ=tαE、力はP=σAです。 4)この状態で二つの材料を結合します。そうしておいて、外から加えている力を抜きます。これは、合成した全断面に、反対向きの力を加えます。例図では引張り力を加えます。この手順を一つの計算式にまとめるよりは、手順に沿って数値計算をする方が分かり易いでしょう。 材料内部での応力分布は、実際にはよく分からないことが多いものです。力学モデルとして、もし部材を自由にしておけば生じるであろう歪みを考えます。これには材料の乾燥収縮などがあります。履歴が分からない応力が残っているとき、これを残留応力と言います。 科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」 |
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