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1. 引張材と圧縮材

1.1 単一部材の引張りと圧縮


1.1.2 応力と応力度とを区別すること

 部材に外から作用させる力を外力と言い、重さなどが主因ですので感覚的に理解できます。この力が材料内部を伝わるのが内力ですが、こちらは感覚的には理解できないことと、その分布が分かりませんので、全体を数学的に積分した概念で扱い、応力(ストレス:stress)の用語を使います。応力は、材料を仮に切断したと想像して、その切断面に作用する外力として理解します。力の向きは、切断面のどちらを考えるかの区別で反対向きです。力は、正負の符号を付ける必要があるのですが、これには部材の座標系の約束と関係しますので、厄介な定義を必要とします。これは、モーメントと剪断力の説明のところで蒸し返します。引張材と圧縮材は直線状の部材ですので、単純な1次元の座標系を考えれば済みます。上の式で、は応力です。軸力と言うのは部材の座標系の概念が入った応力の用語です。式(1.1)で計算するσは、単位断面積当たりの応力の大きさ、応力度を表しています。応力の度合いと言う意味で、技術的な用語では、応力と応力度とを使い分けます。式(1.2)は、歪み(strain)は、単位長さ当たりの変形(deformation)の度合いを表します。なお、数式には、変数や定数に英字かギリシャ文字の一字を当てるのが習慣ですが、記号の種類が増えるときは下付き文字や上付き文字を加えます。コンピュータのプログラミング言語では、ギリシャ文字は使えませんし、一字では表現不足になるので、英数字の名前を使います。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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