目次ページ  前ページ  次ページ

5. 演算の約束も言葉で表す

5.2 数式を読み上げて相手に伝える


5.2.1 数式は物理的な意義も考える

 代数式を利用して数値計算をさせるとき、変数や定数に数を当てますが、その数は、大きさを持った数値とともに、次元(dimension)と単位(unit)とが在ります。これらのことを宣言(declaration)しておいて、中身の定義(definition)を決めます。図(5.1)-(1)に例示した二次方程式は、放物線をグラフに描くことを想定しています。ここで、変数(x, y)は、放物線上の座標です。座標の次元は長さです。次元とは、物理的に言えば、長さ、質量、時間などの組み合わせです。長さの組み合わせには、面積、体積があります。速度は(長さ/時間)の次元です。或る変数を長さとして使うとき、ミクロン、ミリ、センチ、メートル、キロなどの大きさの単位を使い分けます。数式を構成する定数や変数並びは、次元と単位とを整合させる確認が必要です。より技術的な習慣は、なるべく桁数の少ない整数で表し、それに合うような単位系を選択します。図(5.1)に示した定数aは(1/長さ)、bは無次元、cは長さの次元を持ちます。使う数の値が決まって、始めて、数値だけを扱う数値計算、つまり算術を応用することができます。数学が抽象的な学問であると言うことの意義は、次元と単位とを捨象するからです。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2015」

前ページ  次ページ