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5. 演算の約束も言葉で表す

5.1 数式文字並びはグラフィックスである


5.1.2 数式を文章に書いて説明する

 数式を特殊なグラフィックスであるとする考え方は、コンピュータのOS(オペレーティングシステム)が、オブジェクト指向の扱いをするようになってからです。文字と記号並びだけで表した数式は、声に出して説明することができます。図5.1-(1)の二次方程式は、その一例です。声の情報は、一次元の情報並びです。しかし図(5.1)-(2)に示した根の公式は、二次元的な並びですので、どのように声に出して言えば、相手に間違いなく伝えられるかを考える必要があります。根の公式は、口調の良い言い方で覚えますが、式の表し方を思い出す方法の一つであって、厳密に式を再現する目的の言い方ではありません。コンピュータを使って電子的な編集ができるようになって、根の公式のような複雑な式であっても、コンピュータに語りかけて編集処理をする方法が研究されました。この数式編集に取り組んだ最初が、D. Knuth(1938-)であって、そのソフト名がTexです。現在では、パソコンのワードプロセッサに、数式編集のソフト「数式エディタ」が組み込まれるようになりました。その中身は、数式をグラフィックスで描きます。ただし、手作業です。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2015」

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