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3. 数を表す方法

3.4 丸めの方法と応用


3.4.5 覚え易くするために呼び数を使う

 数学で言う無理数は、正確に表したいならば、小数点以下の桁に無限に数が並ぶのですが、適当な位どりのところで丸めます。つまり、実質的には整数扱いをします。例えば、円周率(π)の表し方があります。常識的には、覚え易い3.14と小数点以下二桁の数を使います。分数表示の22/7も便利です。このような、実用に使い、正確な理論値にこだわらない数値を呼び数(nominal number)と言います。設計計算などで正確な計算が要求される場合「桁数が多くなる数、材料寸法に種々の種類がある」などのとき、覚え易い数値に丸めることをします。日本は、アメリカに多くの技術を学びましたので、元の寸法がインチ系列であったものを、ミリ単位の呼び数で使う例があります。例えば、1インチは25.4mmですが、呼び寸法を25mmにします。7/8インチは22mm、3/4インチは19mmとします。元のインチ寸法の材料を測ると、呼び寸法のミリとは違うことがあります。そのため、材料検査をする段階で、「寸法をごまかした」、と問題にされたことも起きました。インチ系列とミリ系列の寸法とが混在して、混乱する例に自動車などで使うネジがあります。見かけは同じ寸法に見えても、ネジとして合わないと組み立てができない悲劇が起きます。これを避けるために、国際的な話合いでISO規格が合意され、日本ではその取り決めを尊重して工業標準(JIS)として採用しています。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2015」

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