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3. 数を表す方法

3.3 計算の組み立てを文に書く


3.3.2 計算手順の説明に使う文

 電卓を使って数値計算をするときの手順を、文字並びに書くとします。例として下の式で説明します。

    「A+B×C−D/E=」                      →答え                  … (3.1)

具体的に、「A〜E」に「1〜5」の数を入れて、電卓のキーをこの順で押すと、答えに1が得られます。この式を、数学的な代数式と解釈するときは、計算手順を間違えないように;

    「A+(B×C)−(D/E)=」               →答え                  … (3.2)

と括弧()でくくって書く約束です。その根拠は演算子に優先順位があって、数式の文字並びの、どの部分から先に計算するかを決める規則です。加減乗除だけを考える場合、乗除の演算子「×と/」は同順位、加減の演算子「+と−」も同順位です。しかし「×と/」は「+と−」よりも順位が高い、と約束します。式(3.1)では、(B×C)と(D/E)とは、前もって計算値を求めて、それを仮の変数記号、例えば「P,Q」に代入しておきます。最後に、加減算だけを使った式を計算します。ここで、括弧()は、その内側の数式が最高の優先順位を持つ、と約束します。括弧を入れ子状に使うこともあって、最も内側から計算を進めます。括弧の内側の値が確定したときに括弧を外した式に変更します。最後に加減算だけの式が残ります。文字並びに書いて説明すると、三つの式です;

    「B×C」→P;   「D/E」→Q;   「A+P−Q」→答え                      … (3.3)

例として、上と同じように「A〜E」に「1〜5」の数を入れて計算すると、答えに6.2が得られます。式(3.3)までは代数式とは言えません。これらは、計算手順の説明をするための便宜的な書き方だからです。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2015」

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