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3. 数を表す方法

3.1 意味を持たせて数を書く


3.1.2 数の大小を区別する約束

 数の大小を区別する約束は、二通りの方法を使い分けていることに、気が付いているでしょうか。正の数と負の数を含めた全体を、直線上の座標位置で理解することを一次元の座標幾何学と言い、この直線を数直線と言います。水平に置いた直線で0の位置を約束しておいて、右側を正、左側を負の数値を表す領域としましょう。数直線上の2点は、相対的に右側の数が、左側の数より大きい、とします。この判断には、原点の位置がどこにあるかには無関係です。ところが、原点からの距離の大きさで判断することもあります。こちらは、数の絶対値での大小比較です。一般社会の習慣では、数直線の向きに、「左右・上下・南北・東西」などの区別を見ます。前の第2.2,2項で説明した寒暖計は、2組の直線座標(摂氏と華氏)を縦の直線座標で示しています。原点の位置と尺度とがそれぞれ違います。同じ温度を表す数字が違いますので、数の大小を温度の大小比較に使うことができません。温度の大小を区別したいときは、一つの座標系に揃えます。一方の座標値が、他方の座標値でどうなるかの計算をします。代数的には、関係を表す一次方程式を立てます。幾何学的には、縦横二方向に直線座標を描き、直線のグラフを描きます。これは、一次元座標変換を表す方法です。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2015」

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