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3. 数を表す方法

3.1 意味を持たせて数を書く


3.1.1 有限桁数の数字並びを決める

 数学で言う実数(real number)は、大きな数から小さな数まで、連続した全体です。幾何学的なモデルは、無限に長い直線座標上に、切れ目なく、連続的につながった点の座標値です。抽象的には、−∞から+∞の範囲です。この座標上には整数(integer number)も無理数も含みます。実用的には、有限桁数の数字並びで表します。したがって、小数点がある数であっても、小数点の位置は便宜的なものであって、計算に利用する実際は有限桁数の整数で扱います。無限に数が並ぶ循環小数、例えば、3.3333…は、10/3で正確に表すことができます。この性質を見て、昔のギリシャ人は、どのような数字並びの実数であっても、整数を成分とする分数で表すことができる(これが有理数の定義)と仮説を立てました。しかし、例えば、正方形の対角線の長さは、2の平方根の数値{が要るのですが、分数表示ができないことが証明されましたので、ここのような数を無理数と仕分けしました。そのため、もし正確に無理数を表したければ、無限に数字を書き並べなければなりません。そこで、無理数であっても、実用になる桁数の有理数に切り詰めて使います。これは、正義感を持って数を学問的に扱いたい人には、我慢できないごまかし、または妥協と映るようです。一時期、正義感から「小学校の教育で円周率を3と教えるのは間違いだ」の抗議が起きたことがありました。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2015」

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