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2. 四則演算の常識を確認する

2.2 引き算と割り算には向きがある


2.2.4 ゼロ(0)で割る割り算を定義しない。

 算術の割り算は、引き算の応用です。大きな数を小さな数で割る処理が基本です。引けなくなったときの結果が、割り算の余りです。ただし、0で割る約束をしません。小さな数を大きな数で割る約束もしません。実数を考えた代数学的な割り算は、結果を小数で表記できます。日本では、算術の割り算記号に「÷」を使い、代数的に書くと、例えば「A÷B」と表記します。こちらも「B÷A」と同じになりません。代数的には、横線を使う分数で書き、比率を表します。書き表すとき、行数を節約するため、斜め記号(スラッシュ)を使って、例えば,「A/B」のように表記する方法も慣用されています。欧米語には、割り算を約束する一般的な記号がありませんので、割り算の意義を表す表記法に苦労があるようです。スラッシュ「/」の他にコロン「:」も見られます。「A:B」と書くと、日本語では「A対B」と読み、比率を意味する、と解釈します。一般的には勾配の表記に多く見られます。このとき、Aは高さ、または縦方向、Bは横方向の寸法として使います。例えば、勾配で言えば、1:5、20%、日本では2割などと書き、割り算の意義があります。壁面のような急な勾配を言うとき、10:1、のように応用することもしますが、直観的に理解できないことが起こります。コンピュータ(電卓も含めます)を使う数値計算では、0で割る場面が現れたときは、「エラーである」と通知してきて、処理を中断します。これは、親切な処理ですが、計算の全体流れの実態を知りたいときに困ることもあります。そのため、0で割る事態のとき、そのコンピュータで実用できる最大数値を仮に代入して、計算処理を継続させるようにすることがあります。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2015」

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