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2. 四則演算の常識を確認する

2.1 算術の基礎教育


2.1.4 掛け算の基礎に九九を覚える

 日本では、小学二年生から、掛け算計算の基礎に、「九九」を朗読させて覚えさせます。日本以外では20までの数の組み合わせを覚えさせる国もあります。日本語では、一桁の数を一文字のカナで言うことができます。「イチ、サン、ロク、ハチ」はカナ2字の表記です。日本語での発音単位は、英語の音節(シラブル)の区切り方とは違いがあって、1音節と2音節の読みを使い分けます。九九の計算規則は、口調の良い5音節にまとめています。歌にして覚えることもします。声に出すとき、息継ぎの間(ま)も勘定にいれて、6,8の音節単位に揃えて覚え易くします。子供が計算に九九を応用しているときは、声を出し、自分の耳で聞き直して確かめています。子供は、声を出さないときも、口がもぐもぐと動くのを見ることがあります。大人になると声に出すことをしませんが、頭の中で九九の音節を再現していて、正確さを確認するためのフィードバックを掛けています。理屈で覚えて利用していると、忘れたり、語順を間違えたりしますが、復唱は自分の声を聞いて確認する行為ですので、正しい対応につながります。歴史上の重要な事項の年代、電話番号の数字並び、無理数である2や3の平方根の値などを、語呂合わせで覚えることもそうです。逆に、数を決めることにも応用します。他のことと関連を付けた覚え方を応用するのが連想記憶です。例えば、言葉遊びに数え唄があります。連想記憶は、情報技術の課題としても研究されています。しかし、ここで言いたいことは、声に出すことの有効性です。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2015」

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