目次ページ  前ページ  次ページ

2. 四則演算の常識を確認する

2.1 算術の基礎教育


2.1.2 レジスタの概念を算盤で理解する

 図2.1 標準的な23桁の四つ玉そろばん
桁数の大きな二つの数の足し算と引き算とを筆算で進めるとき、位取りを上下に揃えて数字を書き、下位(右側)の桁から一桁ずつ順に計算します。繰り上がり・繰り下がりが必要になることを覚えます。算盤を使う計算は、上位の桁から玉の動かし方を覚えます。算盤は、原理的に、10進数のレジスタ(register)です。標準的な算盤は23桁あります(図2.1)。この一続きの長さを、途中で幾つかの小範囲のレジスタに分けて、数値計算に使う部分と、数値をメモする場所に使い分けます。小数位置や、単位区切りを合わせるときの目印に、4桁ごとが付いています。

 図2.2 手回しの機械式計算機(タイガー)
手回しの機械式計算機(図2.2)、または電動化した機械式計算機(図2.3)は、以前、多く使われていました。主な利用者は、銀行などの金融機関でした。科学技術計算にも多く使われていました。これらの機械式計算機は、固定桁数のレジスタが三つあります。標準構造は、10桁×10桁の掛け算の乗数・被乗数が表示できるレジスタ二つと、掛け算の計算結果の表示ができる20桁レジスタです。

 図2.3 電動計算機(フリーデン)
機械式の計算機を使って、小さな数から大きな数の引き算をすると、数字列の頭に9999…が詰まります。これが補数(compliment)です。算盤を使う計算では、小さな数から大きな数を引くことになるのを避けます。そのようなときは、別の桁位置を使って正負を逆にした引き算をする、と算盤に達者な人が説明してくれました。

電卓が普及して、機械式の計算機を眼にすることが無くなりました。標準的な電卓の表示画面は一つです。電卓は、内部に電子式のレジスタを4つ持っていて、A×B=C の3つの計算数値を、場面に応じて表示するようになっています。残りの一つは、メモリ用です。操作画面で、Mの字を付けたキーは、メモリの内容を操作します。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2015」

前ページ  次ページ