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5. オブジェクト指向データベース

5.2 図面データの電子化技術


5.2.4 図面保存のファイル形式

 設計業務では図面の管理が大問題です。写真と図面とは、印刷段階ではどちらも同じ扱いです。図形の物理的な構造は二種類です。線図(line drawing)と濃淡図です。後者はカラーも含め、コンピュータ処理では点情報(ピクセル:pixel)の集合であって、ビットマップ( bitmap)と言います。文字も図形ですので、文字データはベクターフォントビットマップフォントが当たります。工業製図は、線図が主体です。このデータは、グラフィックス言語を使ってテキスト形式で表現できます。ファイルに保存するときの構造は、テキスト形式と、バイナリー形式とがあります。後者は記憶領域を小さくできて、作業段階では処理速度も速くなります。しかし、専用のソフトを使って読み書きしますので、別のソフトでは利用できなくなる危険があります。工業製図に応用するCADのソフトウエアは、作業画面の裏で作図手順をグラフィックス言語に変換してファイル保存します。モニタで再現できて、また修正もできます。このファイル寸法は図面の大小ではなく、線の多少に関係します。一方、写真に代表されるビットマップデータは、二次元のピクセル並びですので、画像の寸法(面積)に比例してファイル寸法が大きくなります。眼でみて粗さが気にならないピクセル密度は、パソコンの画面では約30ピクセル /cmです。プリンタの方の解像度にすると、約75 DPIになります。工業製図は A1版の用紙寸法を使うことが普通です。これをビットマップ形式に変換すると、ピクセル数は、約9000× 6300になり、1ピクセルに 1バイトを当てて正直に保存すると、約60 MBもメモリを必要とします。ピクセルデータを生で扱うファイル形式が (*.bmp)です。したがって、データを圧縮する画像ファイルの形式が研究されてきました。このデータ形式は、圧縮技術と関係して、画像ファイルの識別子に幾つかの種類があります。一般的に使われるものが(*.jpg)、 (*.gif)です。工業製図では(*.tif)を良く使います。これらのファイルの寸法は、画像データをメモリに保存するときだけでなく、インターネットを介してデータを転送するときの効率に直接関係します。パソコンで利用できるメモリ寸法の上限にかなり余裕が得られるようにはなりましたが、大量で大寸法の図面データを扱うことを考えると、メモリの増加を抑える対策が不可欠です。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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