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5. オブジェクト指向データベース

5.2 図面データの電子化技術


5.2.2 最初はビデオテープの利用を考えた

 筆者は、画像データベースの研究を1990年から始めていました。この目的は、一貫して教育利用が焦点でした。その目的には、三つの課題がありました。@:画像を保存し、それを表示する電子化媒体、A:大量の画像データを素早く探す方法、B:検索方法です。第一の問題は、スライド写真をコマ撮りしてビデオテープに保存する方法です。ビデオテープはランダムアクセスには不便でしたので、当時は12インチの大版レーザーディスクを使うことにしました。この基礎研究は放送大学で行われていましたので、そこの施設の協力を仰ぎました。当時のテレビの画像はアナログデータで送信されていて、アメリカ規格のNTSC (National Television System Committee)方式でした。画面の解像度は、現在のデジタル画像と比較すればみじめなものですが、教育用表示には充分と考えていました。レーザーディスクの再現装置には、やや特殊仕様の、パイオニヤ製レーザディスクプレーヤを使いました。普通のビデオプレーヤでも静止画として見る機能を持つ装置がありましたが、ランダムアクセスには向きません。保存されている画像一覧を見る方法は、これらのデバイスでは無理でした。希望する画像を見たい時の検索は、別に作成した目録からコマ撮りの画像番号を元に行いました。画像ならば、画像の特徴を生かす検索方法もあるのではないか、と考えました。単純な線画のスケッチをパソコンの画面を使って入力し、それと似た画像を取り出す方法も実験してみました。これと似た方法は、ワープロに使う、読みの分からない漢字を探すとき、手書き文字を入力して漢字を検索する方法があります。橋の場合は、あらかじめ、元の画像の外郭線を強調するような図のデータを作成しておいて、それとのマッチングが良いものを候補として取り出します。これは文書情報で言えば、抄録作成に当たります。研究の結論から言えば、実用には向かないことが分かりました。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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