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5. オブジェクト指向データベース

5.1 何をしたいかの問題意識


5.1.1 出来合いのソフトは無いのが普通

 コンピュータは、高速の数値計算をする道具を開発すると言う明確な目的意識から始まりました。コンピュータを実務に利用するには、目的に合わせてプログラミングを工夫します。これは、知的な創造的作業です。意図した通りにコンピュータが動作してくれることは喜びです。この延長として、実務以外の趣味的な利用、例えば、コンピュータゲームの開発は、若い人の興味を引き、これが直接間接にコンピュータ全体技術の発展を刺激しました。コンピュータをゲームに使うことや、当面の目的以外に利用する場合であっても、上に立つ実務の責任者は、管理上、白い眼で見ます。ハッカー(hackerまたは cracker)は、非常に優秀なプログラマとしての能力を持つ人が、いたずら心で悪意のあるプログラムの作成に走ったのです。これらの人は、実務上の明確な目標を見つけることができれば、その能力を良い方向に発揮できるでしょうに。そもそも、文化と言うのは、真面目な宗教心も原動力になりますが、遊び心も、昇華して花が開きます。日本の漫画やアニメも、真面目な教育者は白い眼で見る傾向があります。良い作品は、いまや日本を代表する文化として世界的に認められるようになりました。データベースの話に戻すと、データベースに構築したい真面目な要望は、専門ごとの事情を考えますので、公式的な方法は無いと言えるでしょう。手っ取り早く解決したいとしてインターネットで探しても、ぴったりしたソフトが見つかる確率は高くありません。市販のデータベースの参考書が扱う例題の多くは、ビジネス指向です。これは比較的汎用性が高いからです。専門ごとのソフトの開発問題は多様ですので、問題点を説明して、若い人たちが興味を持って挑戦してもらいたいものです。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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