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4. データベース入門

4.3 ワープロ用辞書への要望


4.3.3 文字校正用のツールに辞書を選択する

 日本語は表意文字を使いますので、ワープロでは、音の並びから漢字の候補を表に示し、眼で見て適切な漢字または漢字熟語を選択します。ユーザは、頭の中で文字を音として発想しています。同音異義語を撰んでも、本人は気が付かないことがあります。例えば「人口衛生→人工衛星」がそうです。文学作品では、本人承知で当て字を使うこともあります。新聞や週刊誌などは、見出しなどに同音同義の熟語を、意図して造語することも見ます。ワープロ側では、変換候補の熟語が適切な場面で使われているかどうかの検査ができません。文字並びの候補が多い方がよい、と考えるのが普通ですが、或る程度の仕分けがあると使い易くなります。例えば、常用漢字以外を使った人名・地名などの固有名詞を撰びたいとき、それを辞書の語彙に含めます。専門用語には、固有の文字並びが使われます。筆者が間違えた一つの例に材料強度の限界を示す「降伏点」があります。これを「降服点」していました。専門用語の辞書が、シソーラスです。専門に関わる文書を作文するときは、それに合わせて変換用辞書を選択・追加・削除できるようにしておくのが良いのです。その場合、誤用の危険がある文字並びの辞書が欲しくなります。これは負の意義で参照する辞書です。上の例で言えば、「人口・衛生・降服」がそうです。差別用語も、そのような辞書にしておきます。現在のワープロ用辞書は、負の機能の辞書は扱っていません。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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