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3. 目録の作成からデータベースへ

3.5 ファイル装置の基礎知識


3.5.1 コンピュータ立ち上げの儀式

 コンピュータに電源を入れて、作業に使える状態にするまでの準備を、立ち上げ(boot)と言います。昔々のコンピュータは、手作業で何語かの機械語のプログラムを入力し、実行させると、紙テープまたはカード装置を起動して、オペレーティングシステム(OS)のプログラムをコンピュータのメモリに読み込ませ、常駐させます。これを IPL(initial program load)と言い、一種の儀式のように実行させました。現在のパソコンのIPLは、歴史的な経緯から、自動的にフロッピーディスクを最初に探して OSを読みに行くように設定してあります。フロッピーディスクが無ければハードディスクを読むようになっています。現在のパソコンのOSは、往時に比べて巨大になっていますので、準備が完了するまで、しばらく時間が掛かります。電卓や8ビットのマイコンは、小さい寸法の OSが内蔵されていますので、電源を入れれば直ぐに使うことができます。コンピュータを利用する段階では、プログラムもデータも、鑽孔した紙テープかカードから読み込み、計算結果も紙テープかカードに出力しました。印刷は別作業です。コンピュータを使い易くするには、大容量の内部メモリと大容量の外部記憶装置の開発が必要でした。コンピュータの電源を切る時にも、一通りの儀式が必要です。RAMの領域で書き換えられたデータをディスクに保存するかどうかの判断が必要です。 RAMの寸法が大きくなかった時代、RAMに書き込んだ全データを磁気テープに保存しておいて、次の立ち上げのときに読み出して作業の継続ができるようにもしました。突然の停電は、RAMの記録が消失しますので、作業に大きな支障が起きます。電池駆動のパソコンは、その心配がないので助かります。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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