目次ページ  前ページ 次ページ

3. 目録の作成からデータベースへ

3.2 知的好奇心を満たす目的に使う


3.2.3 データベースの作成前にファイル管理から入る

 手を掛けて集めた情報を、趣味として個人が楽しむのは罪がありません。仕事の上で資料を探すときは、第三者が再利用できる形に整理しなければなりません。私的な著作や論文の作成の資料として情報を集めるときは、誉められた話ではないのですが、その情報元を隠すこともあります。学者が雑誌などに寄稿を依頼されるときは、ページ数などの制限がありますので、悪意はないのですが、論拠の出典を紹介する余裕がなくて、結果として美味しそうな部分だけのつまみ食い的な説明に終わることがあります。研究者としての態度は、引用した論文や、資料のコピーを手許に保存しておくのですが、これが面倒な整理作業を必要とします。この作業を個人の私的な利用目的だけに使うだけでなく、後継の研究者も利用できるような、公的な配慮を考える視点が望まれます。成果が認められる研究活動は、個人の能力が大きな要素であっても、複数の研究研究者の協力が必要になっています。そうであると、データベースを作成する一段階前に、データの共同利用ができるファイルの管理法と、それを後継者に引き継ぎができるような習慣も育てなければなりません。これを広い意味で教育問題と捉えます。
2010.2 橋梁&都市PROJECT

前ページ 次ページ