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3. 目録の作成からデータベースへ

3.2 知的好奇心を満たす目的に使う


3.2.2 本体に代わる情報で妥協する

 人も動物です。動物は本能的に知的好奇心を持っています。動物は、実物に当たることで経験を増やします。人の場合には、情報を入手して知識を増やすことにも積極的です。典型的な例が美術品です。例えば、絵画の本物は一点しかなく、それを保存してある美術館が遠くにあれば、実物を見る機会が殆どないのです。しかし、その情報は、美術書の中の複製を見て広く知られています。複製は、厳密に考えれば著作権を侵害しているのですが、多くの複製が広まって有名になれば、元の作品の評判が上がり、そこにビジネスが発生します。実物を直接見ることができる展示会があれば、出かけて行きます。平和な時代になると旅行がブームになって、有名観光地、つまり情報として知っていた場所、に出かけて、直接 眼で見ると満足感が得られます。しかし、それが簡単にはできないことの方が普通です。一般大衆がインターネットをデータベース的に利用する目的の大部分は、情報を知って、知的好奇心を満たすための妥協です。しかし、下世話な噂話を扱うことも少なくありません。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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