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3. 目録の作成からデータベースへ

3.1 文献調査のまとめが最初の目的


3.1.3 委員会方式の研究活動が犯し易い欠点

 本州四国連絡橋は、政治主導で計画されましたので、結果的に3ルートが提案され、建設されました。純粋に技術的な立場に立つと、いきなり世界最長の明石海峡の建設に挑戦することの前に、段階的に経験を積むことが望まれます。その意味で、3ルートに種々の形式の長大橋が建設されたことは価値がありました。実を言うと、政治主導の建設計画は、欠点として、不都合なデータを公表しないか、無視することがあることです。実は、明石海峡の架設ルートには断層地帯があることが知られていましたので、研究者や技術者の本音としては、建設に乗り気ではありませんでした。したがって、本四架橋の殆どが完成した時点で、最後の長大橋として工事が始まりました。その建設工事の最盛期の1995年に阪神・淡路大地震が襲ったのです。吊橋の主塔間隔が約1mずれたのですが、幸いなことに全体建設に大きな障害にはなりませんでした。原子力発電所の建設計画においても、政治主導の委員会形式の技術委員会は、素人委員の主観的な判断も入る多数決ですので、透明で公平な結論を曲げることがあったことが、明るみになりました。このことを考えると、データベースの利用が広く一般化し、データの客観的な評価を可能にすることは意義があります。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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