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2. 文字処理と英語用語の理解

2.5 オブジェクト指向の言葉の意味


2.5.3 オブジェクト指向データベースとは

 「オブジェクト指向…」の…部分にデータベースと使った"object-oriented database"と、単純に"object database"と表現した言葉の区別が分かるでしょうか? 後者の言い方は、幾つかあるデータベースがあって、いま話題にしているデータベースを指します。同じ使い方は、プログラミング言語COBOLの予約語(reserved word)にobject computerがあります。そのプログラムを使うコンピュータの機種を特定したいときに使います。またobject codeの用語もあります。人が読んで分かるプログラミングコードをsource codeと言うのに対して、コンピュータのCPU(演算処理装置)が理解できるバイナリーコードを言います。CPUが違えば読めません。"object-oriented database"は、objectに具体的な対象を指定する必要があります。一般的には、テキスト形式のデータに加えて、音響データ、ビデオ、グラフィックス、さらにはプログラミングコードそのもの、なども考えます。より具体的な例は、画像データベースがあります。これは、デジタルカメラの普及によって、一般の人でも、大量の図形情報を扱うことが増えたことで、話題として多く現れるようになりました。この解説は後の第5章で取り上げます。グラフィックス関係では、"object-oriented graphics"(オブジェクト指向グラフィックス)の用語があります。これは、工業製図の作成の時に必要となる技術です。工業製図は、基本的に線図(line drawings)で描きます。線の種類としては、実線、破線、点線などがあり、線の太さも何種類かを使い分けます。この線分をオブジェクトとします。線種の区別を表す性質を属性(プロパティ:property)、線を描かせる操作は動詞の命令形を意味するメソッド(method)と言い換え、これらの用語を使うプログラミング単位がフォームモジュールです。複数のオブジェクトを組み合わせて、何かの図形を描くとしたのが、オブジェクト指向グラフィックスです。このようにしておくと図形情報をファイルに保存し、図形の変更などができます。この方法がCADのソフトウエアに応用されています。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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