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2. 文字処理と英語用語の理解

2.5 オブジェクト指向の言葉の意味


2.5.1 オブジェクトは理解し難い用語

 コンピュータの参考書を見ると、オブジェクト(object)の用語が多く見られます。英語を母語とする環境では、特に抵抗なしに理解されていますが、その分、使う場面が広いので、日本語に訳したいとき、適切な言葉を当てることが難しく、意訳することが多くなります。直接には、普通名詞の「もの:物」と訳します。英語の環境では人や生物も含みます。実体のない事柄も含みます。漢字の物も、抽象的な意義で使い、これも原義は人も含みます。人物、動物、生物と使うことを見ます。和語では、物と事とを使い分け、人の方に「者」を当てます。英語の文法書では、objectを目的語と訳しますが、よい意訳です。この目的語には人も物も事も含めます。文法的には、関係代名詞の先行詞で使います。抽象的に、対象と言うことがあります。そうすると、日本語の環境では、具体的に何を指しているかが分からないことが起こります。その代表的な使い方が、形容詞的に使われる "object-oriented…"です。ハイフンで繋いだ表現であることに注意します。よく分からな用語ですので、orientedの部分を指向と当て、残りをカタカナ語のままにした「オブジェクト指向…」の使い方が氾濫するようになりました。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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