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2. 文字処理と英語用語の理解

2.2 新聞業界での苦闘


2.2.2 写真製版の利用

 鉛の活字を使う版の作成は、見出しなどに使う寸法違いの活字の一揃い(フォント:font)も用意しなければなりません。文字は図形です。組み版と言うのは、或る用紙面積を活字図形で埋める作業です。一般的な図形は、別作業で版を作成して挿入します。そうであるならば、文字も写真処理で版を作成することができます。これを写真植字(写植:phototypesetting)と言います。世界に先駆けて1925年に日本で実用が始まった方法です。寸法違いの字形であっても、一つのネガ図形を拡大・縮小操作で済ませることができます。この場合の校正作業は、文字並びを焼き付けた印画紙の、切り貼り処理が必要でした。一ページ単位で完成した原稿をカメラレディと言い、これから印刷作業用の版を写真処理で作ります。写真製版は、利点もあるのですが、短時間に校正まで済ます製版速度が重要な新聞紙面では、ワープロの開発とDTP技術が実用化に入るまでは、作業に組み込むことができませんでした。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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