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2. 文字処理と英語用語の理解

2.2 新聞業界での苦闘


2.2.1 鉛の活字を使う印刷術の機械化から

 印刷技術は、歴史の古いものです。1960年代までは、アメリカでも日本でも、伝統的に鉛の活字を一字単位で選んで原版を組み上げていました。新聞社を含む印刷出版関係の業界では、この組み版作業を効率化することに努力してきました。新聞の印刷は、一日単位の短い時間制限の中で、大量の活字を組み上げ、高速で大量の印刷をしなければなりません。一字単位で活字を拾うことを自動化して、文章単位の文字列の活字を出力する自動活字鋳造機が使われました。その文字情報の入力は、英語の環境では、電報の送受信に使う、紙テープ制御のテレタイプでした。日本では1950年代末に紙テープ制御の漢字テレタイプが開発され、新聞原稿を電信回線で送受信すると共に、自動活字鋳造機への入力に使いました。このテープの漢字コード系が、JISの漢字コード系の母体です。鉛の活字を組んだ原版をそのまま印刷作業に使うのでは、高速大量印刷ができません。原版から紙型を取り、それから輪転機用の版を鋳造して印刷しました。したがって、印刷作業の現場には、鉛活字の鋳造工場がありました。元の原版を使う印刷は、校正刷りに使いました。一般書籍の編集・印刷・出版を扱う企業は、改訂版の出版に備えるときは、この鉛原版を保存しますので、別に、倉庫のような広い保存場所を必要としました。新聞社では、その日限りの原版を利用し、記事の訂正や差し替えなどに使います。その日の最終版を公式記録としてマイクロフイルムに撮影して保存し、新聞の縮刷版としても出版しています。ここまでの機械化では、新聞記事を電子化文書の形では保存できませんでした。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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