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2. 文字処理と英語用語の理解

2.1 JIS漢字コード系制定までの経緯


2.1.3 難産であったJIS漢字コード系の制定

 コンピュータ処理に向くような統一したJIS漢字コードの最初の制定は1978年です。その前、情報処理学会は1969年から始めて、足かけ10年の長い期間、各方面の意見調整を行いました。最初の日本語ワードプロセッサ(ワープロ:word processor)東芝のJW-10の発表が、同じく1978年です。この印刷機械は、ドットマトリックスプリンタが使われました。なお、この機械は、新聞社のような大量高速印刷をする装置には向きません。レーザプリンタもそうです。漢字の利用については、ワープロメーカー毎に、異なるコード系が使われていました。このことは、文字データの互換性が取れなくて、いわゆる文字化けと言う障害となっていました。また、JISのコード系を利用することにも根強い反感があります。その理由の一つは、特に、人名・地名などの固有名詞に使う漢字が、微妙に異なる書体や読みを持たせて使っていることに、標準化文字が対応できないからです。しかし、文字を日常的に扱う印刷・出版業界、とりわけ、一日24時間と言う時間制限の中で、組み版原稿を作成し、大量で高速の印刷をしなければならない新聞業界では、歴史のある伝統的な鉛活字を使う印刷方式を、コンピュータを利用して近代化することへの取り組みが必要でした。この課題は、1950年代のアメリカの大手新聞社でも同じでした。この解決方法の研究は、コンピュータを科学技術の計算だけに応用するのではなく、多くの分野の研究を総合すると言う、広い視点が必要です。大学の研究者の協力も必要です。ここに、軍事研究であったオペレーションズリサーチOR: 米語Operations Research、英語(Operational research)そして、実践技術としてのシステムズエンジニアリング(systems engineering:SE)が注目されるようになりました。データベースは文字処理を踏まえます。その説明に入る前に、解説しておきたい項目が複雑に絡んでいます。ORとSEの説明に先立って、まず、印刷技術について解説します。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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