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2. 文字処理と英語用語の理解

2.1 JIS漢字コード系制定までの経緯


2.1.1 文字処理は基礎技術であること

 アメリカで開発されたコンピュータを日本に輸入して利用していた1960年代、最大の障害は、日本語の扱いが不便であったことです。表音文字のアルファベットを使う欧米語は、文字種(character set)として128種類あれば済みます。日本の環境では、それに追加する形で、少なくとも3000の表意文字の漢字が扱えなければならないからです。商用活動にコンピュータを利用したいとすることの全体を、EDP (electronic data processing)と言います。企業における事務処理の効率化を図るために導入されたコンピュータシステムを言います。日本語では電子データ処理システムと当て、主に給与計算、会計記帳、売上集計などを目的としました。この時代、大型コンピュータは高価な施設でしたので、資本の大きな、例えば銀行業などでないと、排他的な利用ができませんでした。銀行業務は、顧客名の管理に漢字を使う必要があります。アメリカ製のコンピュータの利用では、差し当たって、英字の部分にカナ文字を使うことから事務処理の合理化が出発しました。数値計算を主な利用目的としていた理工系の分野では、特に漢字を使わなくても済みます。データベースは文字処理を基礎技術とします。数値計算にコンピュータを利用する場合は日本語を使わなくても済みますので、漢字を含めた文字処理技術まで、手を伸ばすことをしませんでした。 
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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