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1. データベース構築までの背景

1.2. 整理と保存の現実


1.2.4 開架式と閉架式の管理方式

 共通に利用する図書の整理と保存をハードウエア的に見れば、書庫を設けてそこに書架や書棚を置きます。分類法を決めて、それを使って保存スペースを割り振ります。利用者が書庫に自由に入れて、そこで見るだけでも済む管理方式を開架式(open shelf)と言います。これに対して、書庫への立ち入りを制限し、ユーザが目録などから検索して、司書を介して書物を借り出す方式や、閲覧室を設けて閉鎖的に利用する方式が閉架式です。開架式で管理するときは、利用者の良いマナーをいつも期待できませんので、安全管理の問題が発生します。庶民レベルの書物の利用は、日本では、書店での立ち読み、古書店、貸し本屋スタイルに特徴があります。後の二つは、考えてみると、私設図書館としてのビジネスモデルです。日本の書店は、立ち読みができる開架式図書館的な利用がされています。欧米の書店は閉架式に近いため、立ち読みは追い出されますし、買わなければ読めないような包装もあります。図書を情報源と見るとき、情報を公開するか秘匿するかの区別は、物理的には図書の保存方式を開架式か閉架式かにすることに対応します。コンピュータの普及によって、情報は記憶媒体に保存され、直接見ることができなくなっていますので、言わば閉架式の管理方法になっています。したがって、丁寧な案内手段がなければ、情報を取り出して利用することができません。これが、ソフトウエアとしてのデータベース管理システムの考え方に繋がります。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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