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1. データベース構築までの背景

1.1 軍事研究に始まったコンピュータの開発


1.1.5 データベース利用の大衆化へ

 軍用データベースの管理運営の技術を、一般の図書館にも応用する計画は自然です。しかし、図書館の歴史が古いこともあって、データベースの管理技術を導入することには多くの障害がありました。一つには、コンピュータが理工系の数値計算の道具であるとする先入観が強かったこと。二つは、従来の管理手法とコンピュータを使う管理手法とを共存させながら、段階的にシステムを改善して行かなければならない現実的な課題です。文科系の立場でコンピュータを利用するにも、何がしかの研究体制が必要です。既存の図書館には、職務上の分掌がありますので、データベース研究の環境がありませんでした。しかし、個別の研究者は、データベースがあれば研究上の資料の管理が便利であるとする認識もあって、個人単位での情報検索の開発も行われるようになりました。しかし、データベースを実用的なシステムとして構築することは、個人的な作業の手に余ることも判ってきました。そこで、共同でデータベースを作成し、共同で利用する、その方法の模索が幾つかありました。研究開発には費用も必要です。それを生み出す民間のビジネスモデルが幾つか試みられましたが、長続きした例は多くありませんでした。コンピュータ技術が進歩してきたことと、インターネットの利用が大衆化してきましたので、プロバイダが提供するデータベースの検索手法が、個人の環境でも経験できるようになりました。その検索先に、共同で利用する実用的なデータセンタを構築することの提案が、ようやくできる時代になりました。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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