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1. データベース構築までの背景

1.1 軍事研究に始まったコンピュータの開発


1.1.2 コンピュータを事務処理に使うこと

 コンピュータは、科学技術計算の道具としての使い方が主題でした。その目的以外の利用法、つまり会計計算、統計処理などの事務処理、印刷に関係する文字処理などは、あまり注目されませんでした。事務処理に利用することを、軍用に対して商用、さらに、大衆化することを民生利用と言います。後の二つの利用法が、実は、コンピュータ処理のマーケットでは大きいのです。コンピュータのメーカーは、会計計算に便利な装置の開発にも焦点を移し、名称として汎用コンピュータと言いました。科学技術計算用には幾らか不便になりましたので、数値計算を主目的とするスーパーコンピュータを別に開発する方向に向かいました。筆者のデータベースとの関わりは、1970年代の始めからです。当時、筆者が所属していた名古屋大学での汎用コンピュータFACOM230-60(1968)は、研究目的の利用に科学技術計算を掲げていましたので、情報検索(information retrieval)を始め、実務的な情報処理に大学の大型計算機センターを利用することは、規則で許されていませんでした。筆者が、コンピュータ言語のFORTRANだけでなく、COBOLも使っていたことがバレて、研究目的の利用とは認めないと言って、一か月程の利用差し止めを食らったことがありました。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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