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付録H.口頭発表

Appendix H. Oral Presentation


H1. 口頭発表のチェックリスト

話し方(聴衆がいてもいなくても

(1)
話し方の早さは、1分間約300字位です。400字になると相当の早口になります。発表時間に合わせた長さの原稿を作って、時間を計りましょう。決められた時間を超過することは、絶対にしてはなりません。

(2)
司会者が名前と演題を紹介する場合は、すぐ本題の話しに入ります。自己紹介や、演題の繰り返し、挨拶を省きます。
悪い例:「皆様、私が〇〇でございます。本日は天気に恵まれ・・・・、△△△について発表させて頂きます。・・・・」

(3)
耳障りな、無意味な言葉を少なくするように努力します。例えば“エー”、“アノー”、“ね、さ、よ”と云われる接尾語

(4)
つい口癖で多用する言葉も注意しましょう。“例えば”、“いわゆる”、“つまり”、“言い換えると”、“実は”など

(5)
丁寧なようでも、相手に失礼になる言葉遣いがあります。敬語の使い方は普段から注意しましょう。次の言葉も、受け取り方によっては誤解を生じます:
“ご存じの様に”(知らない人に恥を掻かせている)
“〇〇先生が云われる”(個人崇拝と受け取られる)
“馬の耳に念仏”(宗教に絡む言葉は微妙な注意が必要)
このほか、男尊女卑、人種差別、宗教上の禁忌、さらに、いわゆる差別用語というものもありますので重要な発表ではあらかじめリハーサルなどでチェックしておくべきでしょう。

(6)
聴衆の年令層、地位などに合わせて話し方を変えることも悪くはありませんが、目上と目下に対する言葉遣いが極端に異なるのは良くありません。説教調や高飛車な言い回し、反対に丁寧すぎて卑屈になることも避けます。

(7)
下品と受け取られかねない言葉を避けましょう。
“味噌も糞も一緒にする”、“目糞、鼻糞を笑う”、“爪の垢を煎じて飲む”

(8)
日本語は同音異義語が多いので、専門用語で音読みすると理解でき難い言葉は、適当に訓読みで説明を補うなどの心遣いも大切です。また、間違った読みは失笑を買います。練習のとき、誰かに聞いてもらって直します。

(9)
発表の最後は、簡潔に感謝の言葉を述べます。これは、司会者などに発表の終了を知らせる役目があります。

(10)
最初に、目的(Objective)、要旨(Summary)、結論(Conclusion)などを述べてから本論に入ります。書かれた論文の構成と逆に話しを進めると考えれば良いでしょう。

(11)
論点の重要な箇所を、キーポイントとしてまとめます。具体的には、文章の見出し、アンダーラインを引いて強調したい箇所、箇条書きにした結論部分を云います。口頭発表でOHPやスライドを使うとき、このキーポイントを見せながら説明するのが最善です。

(12)
口頭発表に際して、あらかじめテキストが作成されることもありますが、聴衆にテキストを参照させるように要請する発表をしてはなりません。例えば、“テキスト第2図にあるように・・・”などと云うものです。もしテキストがなかったり、あっても情報が不十分であるときは、より完全なレポートを読者の求めに応じて送る準備をする義務が発表者にあります。

服装・態度など

(13)
派手な服装は避けます。できれば、紺系統のダークスーツが無難です。

(14)
聴衆の方を向いて話します。できるだけ左右均等に視線を回します。原稿を読むため、下ばかり向いていたり、スライドやOHPの説明に集中し過ぎて、聴衆に背を向けたままにならない様にします。

(15)
発声法、イントネーション、アクセント、間の取り方、ボデイランゲージなどは、かなり意識的に訓練する必要があります。テレビのニュース放送のアナウンサーの話し方は良い参考になります。

質疑応答

質疑応答(Discussion)は、発表者だけでなく、参加者の方にもマナーが必要ですので、簡単に説明しておきます。

(16)
発言の許可は、手を挙げるなどの合図をして、必ず司会者の指示に従います。声をだして割り込むのは下品な野次と同じです。

(17)
発言の種類は、二つあります。一つは、発表者に答えを要求する質問、ふたつ目は発言者がコメントを述べるもので、必ずしも発表者の答えを期待しないものです。発言に際して、質問であるか、コメントであるかの態度を明らかにします。

(18)
発言の長さは、長くても1分(約300字程度)以内にまとめます。“質問が二つあります”などの様に具体的に質問し、回答もYes/Noを最初にはっきり云う気持ちが大切です。


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