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G10. 曖昧になりやすい語句 (Writing Logical Japanese Document)

(1)
文学的な表現、誇張した表現を使わない。「危機一髪」「白髪三千丈」「怒髪天を衝く」「胸がはりさける」など。「絶対に」「すごく」「ものすごく」なども一種の誇張である。

(2)
「〜的」「〜性」の用語をなるべく避ける。「人間的に人間性を大事にする」。

(3)
決まり文句を多用しない。安易に慣用句を使わない。これは事実を単純化するか、結局は意味が何もないことがある。

(4)
避けたい言葉遣いの例
いわゆる、つまり、要するに、文字どおり(多用しないのが良い)
するものとする(簡潔に“する”で良い)
と言っても過言ではない(修辞的な言い回し)
疑いの余地はないであろう(科学的な態度は、疑ってかかるもの)
することを期待する(当てにしないよ、と云った失礼な言葉)
することを願うものである (上と同じ)
至難のわざである (到底駄目ということを云っている)
(このほか、差別用語がある)

(5)
使いたくない言葉
当面の課題としては……さまざまな問題があることも事実でありますが……そうしたことも考えあわせて……謙虚に受けとめ……これからの論議の中で論議していきたいと思うのでありますが……緊急の課題としては……誠意をもって……全員で協議の上……可及的すみやかに……前向きに検討して……皆さんに納得していただけるように……誠心誠意……実現に向かって鋭意努力を重ね……充分に話しあい……そうしたことも含めて……皆さんに是非ともご理解いただき……具体策に絞って実現をめざすつもりでおります……そのようなことは到底納得することはできない……そのようなことは到底ゆるすことができない……
(筒井康隆、文学部唯野教授のサブテキスト、 p.16 文芸春秋社1990,ISBN4-16-344490-4 C0093 p850DE)
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