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G9. 文法上の誤り(Grammatical and SyntacticalErrors)

 英語では、文法上の誤りを指摘しやすいところがありますが、日本語の文章では、文法規則がやや曖昧なところがあってもそれなりに通用しますので、意識して文法上の整合性を検査しなければなりません。

(1)
日本語は、前の文意を受けて主語や目的語をよく省きます。また、主語、述語の対応がとれないことがあっても、なんとなく意味が通じることも多くあります。検査の一つの方法は、文の単位ごとに主語、述語、目的語が英語の訳に対応できるかを調べることです。ただし英語並に毎回主語や目的語を立てるとくどい感じになりますので、読み易さとの妥協が必要です。これが著者の文体となります。

(2)
日本語の助詞は俗に「てにをは」と云われます。その正確な使い方は英語の前置詞の使い方に匹敵する難しさがあります。助詞は、文章の論理的な正確さを決める上でも非常に重要な働きをします。外国人の書く日本語が舌足らずになるのは、助詞の使い方に不慣れなためです。

(3)
自動詞と他動詞との使い分けに注意します。自動詞は受動態の使い方がありません。しかし、日本語では敬語を作るときに自動詞も受身の形を使いますので、主語と目的語との関係が曖昧になることがあります。それを避ける意味でも、受動態を使わないようにします。例えば、「本が読まれる」という表現は、「読者が本を読む」ことを丁寧に言うこととも解釈できるからです。

(4)
外来語は日本語に取り込まれるときにはすべて名詞扱いをします。「‥する」「‥をする」は、外来語などから動詞をつくるときの用法ですが、その名詞に動詞の意義があるときに限ります。このような名詞を「する名詞」と言います。カタカナ用語は外来語ですが、漢字の熟語も基本的には中国伝来の外国語です。やまとことばの習慣では、純粋の名詞に直接「する」を付けません。そのため、例えば、「文化する」「元気している」「感覚する」などの使い方は間違いです。

(5)
外来語で形容詞、副詞の意義のある名詞は、「‥な」「‥に」と添えて形容詞や副詞に使います。この使い方ができる名詞を「なに名詞」といいます。「元気」は「なに名詞」ですので、「元気な顔」「元気に動く」と使えます。

(6)
ある名詞にはある決まった動詞を使う、といった語句の呼応があるものは、正しい使い方をします。例えば、取る・採る・撮る・捕る・執る・摂る・盗る、の使い分けです。比喩的な使い方や、文学的な言い回しを不注意に使うときに、本来の意味や使い方を誤ることがあります。

(7)
接続詞は、前の文の意を後に引き継ぐときに用います。その使い方で、下に示す3種類がありますので正しく使います。

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