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G7. 引用の方法 (citation)

(1)
言葉として、引用 (citation) と参照 (reference) とがあって、殆ど同じ意義で使っています。習慣としては、引用が部分的な字句を指す使い方をしますので、その目的に使う記号を引用符記号といいます。参照の方は大きな枠組みを指します。

(2)
文章の他の箇所を引用するとき、基本的な方法は、章・節・項の番号、図・表の番号に拠ります。文の、ある箇所の引用では、例えば、1.2.4 項の二段目(第二パラグラフ)の様に、具体的、数量的に示します。ページ番号、行番号で引用するのは、レポートの書式が決まっているときに意味がありますが、ワードプロセサで原稿を編集することを考えれば、避けた方が良いでしょう。

(3)
悪い引用の例は、「既に述べた様に」「前に示した通り」「後から説明しますが」などの様に、引用の元の場所を特定し難いものです。

(4)
日本語では、「あ・こ・そ・ど」で始まる指示代名詞を使うと曖昧になり易くなります。例えば、「あの」「これ」「このような」「その」「そのような」などをできるだけ省きます。

(5)
「昨年」「近年」「最近」「先週」などの時制を表す表現は、その文章が作成された時点での相対的な時間を指示しますので、なるべく「1980年以降」などと絶対的、具体的に示します。

(6)
文章の中で文献の引用を書く方法は、数字を角括弧で囲んで[12][Ref.2 ]などの様に使います。同じレポートの他のページの箇所の引用は、例えば(・・を見よ)(・・参照)(see ...)などと丸括弧で囲みます。

(7)
注は、もし文章・図・表の中に取り込むと不釣り合いになるか、長過ぎる引用になるのを避けるために使います。注は、それが必要な箇所に注記符号をつけ、その文章・図・表のすぐ後 に“注”と書き、引用した注記符号をつけて、事柄を記載します。注記符号は、文献番号と区別するため、上付き文字で(1), (2), (3)の様にします。注記に番号を付けるとき、レポート全体で一連番号とします。図・表の中だけに限れば、アステリスク *, **, ***などの記号を使うことができます。

(8)
著者名の所属を注記するときの記号に†や‡を使うと故人を意味するので注意します。

(9)
備考(remarks)は、話し言葉でいえば「念のため付け加える」事柄です。備考が無くても、論旨が曖昧にならない様なものです。備考は、文章・図・表のすぐ後に、“備考”と書いて、必要な事柄を記します。備考に番号を付けるときは、その番号は備考の内容を判りやすくするための箇条書きの番号であって、その場限りの番号とします。

(10)
ページの下の部分を罫線で区切って、その場所に書き込む注を脚注(foot note)と云います。ここでは“注”の文字を書かないで、すぐに注記符号を付けて書きます。注と備考とが同じ場所にあれば、注を先に書きます。

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