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G5. 言い回し (Verbal forms)

 言葉の表現形式、つまり、言い回しは、伝えたい事柄を正しく理解させるため、ある程度定形的になることがあります。特に、規格、基準、仕様など、法律的な色彩のある文書では、文章の末尾の言い回しは非常に大切です(下の表は JIS Z8301 を参考に作りました)。

意味 言い回し 対応する英語
指示又は要求
(requirement)
・・する。・・とする。・・とおりとする。・・しなければならない。
・・による。・・しない。・・してはならない。用いる。示す。
(箇条書きのときに使う)・・すること。・・のこと。
... shall, ... shall not, ... is to,
... is required to, ... has to,
... it is necessary,
... it is not allowed, ...
推奨
(recommendation)
・・ほうがよい。・・するのがよい。
・・するとよい。・・することが望ましい。
... should, ... it is recommended,
... should not, ...
許容
(permission)
・・してもよい。・・差し支えない。 ... may, ... is permitted, ... need not,
... is allowed, ...
可能性
(possibility)
・・することがある ... can, ... cannot, ... be able to,
... it is possible, ... be unable to

(1)
should の日本語訳は「・・すべきである」と解釈していますが、英語本来の意味ではこのような命令的、義務的、または強制的な意味あいはありません。should, would, could などは丁寧な言い回しに使うことを考えれば、この言葉の感覚が分かると思います。

(2)
指示または要求を表す日本語では、ぶっきらぼうになるのを和らげるために「・・示すものとする。・・するものとする。・・用いるものとする。」のような表現をよく見受けます。これは冗長な表現になりますので、短く「・・示す。・・する。・・用いる。」とします。

(3)
二つ以上の選択肢があるとき、それらをすべて示した上で、そのどれかを推すのが推奨です。

(4)
選択の範囲を明示しないで、「原則として・・する。」という言い回しは、例外を認める表現になります。単独で使うと、「どうやってもよい」と解釈できますので、指示または要求になりません。「原則」は「例外」と対に使います。そうすると推奨または許容と同じことになります。

(5)
日本語の感覚では、英語の may と can との意味上の使い分けが難しい面があります。may は、他者に指示をするときの言い回しです。can は、自分の自主的な判断で、するかしないかを決めるときの宣言的な言い回しです。

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