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F3. スペースとスペーシング

 文字と文字との間、英字では語(word)の間は、物理的な込め物で埋める。これをスペース(space)と呼び、活字の寸法と関連を持っている。一方、スペーシング(spacing)は英文の語間、行間の空け方を言い、アキ(隙間のこと)を意味しない。

 和文活字は、決められた行長に行揃え(justification)することが比較的容易であるが、禁則処理のため、字間を均等割りしたり、約もの類の前後を詰めて調整する。電子組版や写真植字では、文字の間隔を自由に設定できるので文字を重ねるようなマイナススペースもできる。ただし、活字の寸法に対して文字の寸法は30/32程度であるので、詰める限度は全角の2/32までである。

 英文の語間をword spaceと言い、基準は三分(1/3em)または6/16emである。行末揃えには、4/16〜8/16emの間で調整する。更に、文字と文字との間隔を調整することをletter spacingという。この技法には、カーニングとマイナススペースも含む。このような方法を、欧文スペース任意空白バリアブルスペース(variable space)などと言う。これでも行末調整ができないときには、シラブルで切るハイフネーション(hyphenation)をする。込め物としてのスペースの種類に下の種類がある。

 英文の機械式タイプライタは字間のスペーシングが一定で、パイカ(pica)は10文字/インチ、エリート(elite)が12文字/インチである。活版では文字幅に合わせたスペーシングになるが、これをproportional spacingと言う。電子タイプライタにはこの機能があるが、写真植字や電子組版では、かなり高度な処理ができる。

 英文の文末のピリオドの後の空白の取り方は、スペーシングの方で言う。タイプライタで原稿を打つときには、ピリオドの後はスペース2つを入れる約束になっている。活字で組むとき、ピリオドの後に語間と同じくword spaceとするのをfrench spacing、クワタ分あけるのをレギュラースペーシング(regular spacing)と言う。現在は前者が普通に用いられる。

 行末の空白を埋める込め物をクワタと言い、全角を基準として4倍角までのものがある。行と行との間に挟む込め物をインテルと言い、種々のサイズがある。材料は、金属製、木製などがある。

 タイプライタでの印刷では、あらかじめ定められた行間隔で改行もしくは行送りが行なわれる。パイカは12ポイントであるので、スペーシングの最小はシングルスペーシングであり、1インチ高さ2.54cm、72ポイント相当の高さに6行入る。


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