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3. 書式

・書式とは、文章・図などの用紙上の構成方法を指します
 書式とは、文章・図などの用紙上の構成方法を指します。典型的なものが手紙の書き方です。拝啓に始まって、時候の挨拶、用件、敬具で締め、宛名、日付け、署名、印などを加えます。用紙の寸法に合わせて、余白や文字の寸法、その配置などに注意を払います。官公庁などの申請や届けにはそれなりの書式の雛形があって、それに合わせて文書を作ります。区役所などで住民票の交付を依頼するなどの目的に使う文書は、あらかじめ記入場所を決めてある用紙が準備されるようになっています。入学試験の願書などは、書式に合わせて自分で願書を作ることが許されていなくて、あらかじめ記入場所を決めてある専用の用紙を使います。電子メール(e-mail)のソフトでは、そのソフト固有の書式があって、ユーザーは必要な箇所に適切な書き込みをすればようようになっています。

・書式の英語訳はフォーマット(format)が相当します
 スタイル(style)は、体裁に当たります。レイアウト(layout)は書式や体裁のことに関連してデザイン的な要素のことを言います。ワードプロセッサを効率的に利用するとき、あらかじめ決めておいた定型的な書式を保存しておいて、伝えたい本文を書き込めば簡単に清書が完成するような方法があります。このときに使われる雛形の書式をテンプレート(template)と言います。年賀状などを印刷したいとき、印刷見本を見てそれを利用ことは典型的なテンプレートの利用です。このとき、用紙や色使いなどは体裁になり、印刷機の性能に影響を受けます。

・書式の項目は活字の寸法・字体・組み方を決めること
 印刷物の書式の項目とは、活字の寸法・字体・組み方を決めることを意味します。活字の種類をフォントといいます。日本語の印刷では、例えば、A4版・横書き・明朝体・8ポ・25字詰め・50行・二段組、などのように決めます。学術雑誌では、その雑誌固有の印刷仕上がりの書式が決められています。それは、投稿要領などに示されていますが、著者が注意しなければならないのは、多くの場合、指定されたページ数に納まるように原稿の分量を調整することです。少し前までの学術雑誌は、著者の原稿に基づいて雑誌の発行機関の責任で活字を組んでいました。しかし、数式などの多い理工系の文書原稿は特殊な活字も多く、組み方に特殊技能が要求され、また校正も手が掛かりますので、最近では著者がDTPなどで作成したカメラレディの原稿をそのまま写真製版することも増えています。この方式で作成する学術雑誌は、その雑誌の権威の象徴の一つであった統一のある書式が失われ、掲載論文の実質的な内容で評価されるようになってきました。

・文章全体の構成は段落が重要な単位
 広義の書式には文章の文体も含めます。例えば、口語体・文語体、「です・ます調」「である調」などの選択の幅があります。英語では米国英語か英国英語の違いも書式の問題にしています。原稿の作者が書式上で注意しなければならないことは段落(パラグラフ;paragraph)の構成と章立てです。文章全体の構成の原則は次のように考えます。文章とは複数の文を集めたものです。ある主張をまとめた文章を一つの段落とします。複数の段落をまとめたものを項、複数の項をまとめて節とし、複数の節を集めて章とします。ここで、段落が重要な単位となりますので、その書き方に注意が必要です。日本語の作文教育で「起承転結」の構成を一つの法則のように主張するのを見受けますが、これを段落の論理的な構成方法と解釈するとよいでしょう。眼でみて分かる段落の構成方法は書式の問題です。日本語では段落の始まりは1文字空けて書き出しますし、英文では、段落の始めを数文字分字下げ(インデント;indent)をして書き出すか、一行の空白を空けるなどの方法が取られます。雑誌の投稿要項は、殆どの場合、書式について著者が守るべき項目が書いてあります。


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