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4. 体裁

・体裁は用紙とその綴じ方と製本 第三の要素である体裁のことですが、簡単に言えば用紙とその綴じ方や製本といったような物理的な外観を指します。前項の書式と重複する問題も多いのですが、書式の方は、ページ単位での文字の体裁と考えるとよいでしょう。縦書きで書かれた雑誌は右綴じ、英文や横書きの日本語のレポート類は左綴じになりますが、これは書式と連動しています。ページの切り方にも決まりがあって、左綴じでは見開きの左ページが偶数ページ番号に、右綴じでは右が偶数ページになります。印刷と製本には専門の技術集団がありますので、書物の奥付けに印刷と製本の企業名が載っているのを見ることができます。質のよい製本には特殊な道具や技術が使われますので、一般のユーザーの手に余ります。普通の書類管理では、ホッチキス止めか、パンチで穴開けをしてファイルに綴じます。用紙の綴じる側には、綴じ代を見込んで相応の余白を取らなければなりません。文書の体裁は、保存と検索などの管理技術と密接に関わります。官公庁の文書の寸法は、JISのB列からA列規格の採用に変りましたが、これは大きな変化を伴います。例えば書架やファイルキャビネットなどの外形寸法が変り、ひいては家具調度のデザインにも影響が及ぶからです。

・文書情報を実質で扱うとき体裁と書式を省く
 手紙を書くとき、用箋や封筒の質やデザインを選ぶことは体裁の問題です。企業が発送する手紙は、企業の顔を代表するように特別のデザインをした専用の用箋や封筒を使います。そのため、これらの用紙を私用に使うのは公私混同になります。冠婚葬祭などに関連した手紙などの文書は、用紙の質などに注意を払い、それなりに体裁を整えて作成します。しかし、文書情報を実質で扱うとき、まず体裁を無視します。次に書式を省きます。電報文がその極限のスタイルになります。もっとも、慶弔電報は妙に体裁を整えて配達してくれます。電報を送受信する装置がテレタイプ(teletypewriter)です。電子メール(e-mail)は、テレタイプの延長に位置していますので、基本的には書式情報を含んだデータを扱いません。書式情報・画像・音声などを送るときは、文字コードを組み合わせた符号に直して送受信します。

・パソコン処理はプリンタに出力するときの体裁を考える
 文書をパソコンで処理するときは、プリンタに出力するときの体裁を考えます。ここでの体裁は、レイアウトの意味も含んでいます。書式情報とは印刷仕上がりの体裁を指示するデータを指します。ワードプロセッサで扱う書式情報とは、フォントの種類・上付き・下付き・太字・斜体・アンダーライン、などが表示できる情報のことです。文字列のセンタリング・右寄せ・左寄せ・左右揃え・均等割り付け、などは広い意義では書式情報に含めています。その際、モニターの画面上で印刷のレイアウトを確認しておいてプリンタにデータを送ります。モニタで見たままの書式で用紙に印刷できることを謳った用語がWYSIWYG(what you see is what you get)です。したがって、モニター上の物理的な表示方法も体裁の分類に含めて考えることができます。

・テキストファイルは書式情報を含まない
 文書をモニター上で読む利用の形態が増えています。文書をファイルに保存したり、通信回線でデータを送受信するとき、大別して書式情報を含む場合と含まない場合とがあります。テキスト形式のファイルというのは、文字コードと改行コード・タブコードだけから構成されていて、書式情報を含まないファイルを言います。狭い意義では、ASCIIコードのデータだけで構成されたファイルを指しますが、日本語の文字コードを含めたファイルもテキストファイルと言います。このデータをテキスト、またはplain textと言います。テキストファイルであれば、どのコンピュータでも読むことができますが、書式情報を含むファイルは、その書式を解読する専用のソフトウェアを使わないと正しく読めません。


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