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4. 画像を含める印刷

4.1 同じものを複数部数作る技術


4.1.1 木版と石版

 日本で身近に普通に見られるハンコは、一種の印刷道具です。固有の字形デザインを持たせ、それを使う人を特定する目的があります。人物の特定には署名(サイン)が普通になりましたが、日本の書画では両方が使われています。印刷は、同じものを複数作ることの方に目的があります。ハンコ本体の材料は木が普通です。金属材料や石材などもあります。書物の作成に、ハンコを活字のように利用するのは実用的ではありません。字形違いで多くの字数を用意し、それを組み合わせなければなりません。そこで、1ページ単位の字形をまとめて彫る一枚ものの木版が使われました。その歴史は8世紀前まで遡ります。宗教書の印刷が主な目的でした。鉛の活字を使うグーテンベルグの印刷機の発明は15世紀ですが、これも、聖書の印刷を目的としました。 style='font-family:浮世絵は木版印刷です。作者、版元、その印章があり、文字による説明も彫られている作品もあります。リトグラフは、それより少し遅れて欧州で実用化された石灰岩を使う石版です。主に石版画用として使われ、ロートレックは、大版の「ムーラン・ルージュ」などのポスター作成に使いました。

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