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3. 画像処理の理解が必要

3.3 画像の観察と眼の機能


3.3.3 美術品の鑑賞の場合

 写真や絵画を美術的に制作するときは、広い世界の、どこを切り出すかの構図にこだわります。鑑賞するときは、画像全体をまとめて観ると共に、切り捨てられた部分に想像を巡らせることもします。画像本体から少なくとも1m程度の距離を置き、相対的に視野角を狭くします。額縁は、画像の外側にも図形がつながっている、と訴える道具立てです。この観方は、文書の文字を読むこととは異なっています。文字は画像ですが、相対的に言えば点であって、点の位置を視線で追いかけ(スキャン)しながら文字並びを読んでいます。文字並びの外側は、普通は何も無い余白にします。人の眼は、正確な光学装置ですが、眼から受ける情感が、この正確性の邪魔をします。同じように見える二つの画像で、違った絵柄の場所を見つけるクイズがあります。比べて見ていても、意識を集中させないと、違いを見過ごすことがあるのが面白いところです。

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