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2. 実践的な資料管理

2.4 コンピュータを使わない情報整理


2.4.5 情報とデータの安全管理

 重要な資料や物品を安全に保存するための倉庫的な施設として、博物館 (museum)があります。絵画や彫刻を対象とするのが美術館です。書籍を保存する図書館(library)もそうです。これらの施設は、やや官僚的な運営をしますので、保存の分類をから外れる対象は扱いません。それらを救済する別施設で、史料の保存意義を持つ施設(アーカイブズ;archives)が注目されています。市販された書籍ではなく、官公庁が作成した史料的な公文書の保存場所が始まりですので、日本では公文書館と訳されています。書物だけが対象ではありません。クラシック音楽を楽しむ人であれば、ドイツ語読みのアルヒーブレコードを例として説明すると納得してくれます。銀塩写真を含め、紙の形、とりわけ和紙の資料は、永い年月の保存にも耐えることが経験されてきましたが、保存に場所を取ることが難点です。そこで、コンピュータを利用して資料のデジタル化が普及するようになりました。これもアーカイブと言うようになりました。しかし、コンピュータが故障するか、事故や災害で使えなくなると、業務が全くできなくなる危険と隣り合わせです。電子化に利用する記憶媒体が進歩してきたことは利点ですが、システムを更新すると、ハードウエア・ソフトウエアの仕様が変化して、、データのバックアップが大変な作業になります。読み出しができなくなる被害も多くなりました。個人が私的にパソコンを利用している環境でも、大きな被害を発生しています。また、サイバー攻撃など、悪意を持ったデータ破壊も問題になっています。したがって、無駄なように見えても、紙に記録して別の場所で保存する安全対策が必要になっています。

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