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2. 実践的な資料管理

2.4 コンピュータを使わない情報整理


2.4.4 火災と水害による情報の消失

 筆者の知り合いですが、その方の戸籍資料は、関東大震災 (1923)で役所が消失したことに加え、菩提寺も焼け、過去帳もなくなり、ご先祖さまのデータが分からなくなりました。聞き取りなど、不完全ながらその時点で分かった戸籍資料を復元しました。ところが、第二次世界大戦の米軍の空襲で、再度、戸籍資料が無くなってしまいました。一方、東北地方を襲った津波で、役所が丸ごと被災したニュースを見ましたが、重要なデータが流されたことの被害は深刻なはずです。家族写真などのアルバムが水に浸かって傷んで発見され、何とか見られる状態に復元されたことが報道されていました。しかし電子化されたデータが助かることはほとんどありません。世界的に見ても、20世紀は世界大戦が多くの文化財を破壊しました。21世紀になると、今度は大河川の氾濫などの自然災害が相次いで起こりました。ヨーロッパは水害が少ないので、図書館の書庫を地下室に設けることも普通に見られますが、ここが深刻な被害を受けた例があったのは傷ましい限りです。

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