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2. 実践的な資料管理

2.2 紙の資料の保存場所を考える


2.2.3 紙以外の保存媒体が増えている

 書物は、保存用書架を置く広い場所を必要とします。量が多くなると、重量が嵩みます。日本住宅では床が抜けるなどの被害を起こすことがあります。紙の資料は、湿気などで劣化も起こします。紙魚(しみ)による食害もあります。そのため、和書は、桐の箱に入れて保存する習慣があります。洋紙は酸化する製品があって、長い年月の保存に向かないことがあります。新聞用紙がそうですので、切り抜き資料の保存に注意が必要です。書籍の保存は、箱などに収めるよりも、できれば見えるように並べます。大きな寸法の文書の代表が新聞です。新聞社側では、縮刷版や、マイクロフィルムにして保存場所を節約する助けをしています。工業図面は、大判の用紙を使います。建設業のように野外で利用する図面は、地図なども材料にします。折らないで保存できることが理想です。室内での利用を考えた縮小図面では、見難くなることを理解しておきます。専門性が高い図面などを含めた書類は、公的な図書館では保存しません。したがって、専門ごとに私的な保存を考えます。ところが、私企業が倒産などで消滅すると、重要な書類も消失することが起こります。アーカイブが話題になるのは、この場合を想定しているときです。以前、図書館ではソフトカバーの書物は保存の対象としませんでした。図書館側でハードカバーを持たせて製本し直すこともしました。書物の爆発的な増加は、書庫の増設に予想外の費用が必要になりました。マイクロフィルムの閲覧利用は、その対策の一つです。書物を電子化して閲覧に使うこともそうです。読み物的な書物は、一回しか眼を通さない読み捨ての利用が多く、読者側は保存しません。しかし、科学技術に関係する書物は、ページ位置を替えて何度も参照する使い方もします。そのためには、丁寧な目次と索引が必須です。目録があると、さらに親切です。図書館がコピーのサービスを持つこともあります。電子文書化が進んできて、読者側で私的に閲覧も印刷もできる時代になりました。USBなどのメモリに電子化した文書情報を記録して持ち込むと、小部数で印刷から製本までしてくれる街中の印刷屋さんが見つかるようになりました。

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