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2. 実践的な資料管理

2.1 資料の区別を三通り考える


2.1.3 一過性の画像利用は著作権を考えなくてよい

 一過性の利用とは、その場限りの展示や、言葉による説明をする行為です。形のあるものを残しません。展示会で写真撮影を禁止することがあるのも、コピーの制限であって、著作権と関係します .。放送は一過性の公共的な発信です。元の資料と同質の再現ができないコピーを作成し、売買行為をしなければ、問題が無いと考えられています。しかし、公的な媒体を介して一般の眼に触れるような編集が加えられると、オリジナルの引用と同等の扱いになります。著作権法は、利用者側で引用やコピーをして別形式で発表することについて、クレジット側の権利を認め、許諾を得る必要があることを決めています。著作権の継続年数については議論があります。私的に利用するだけであれば、この制限を考えなくて済みます。ところが、公的な利用の性格を持つインターネットを介して、私的な資料を作成して発信ができるようになりました。とりわけ映像資料の著作権の主張に注意しなければならなくなりました。江戸時代の浮世絵は、部数の多い出版物でした。版面または余白に、奥付相当の情報があります。これは世界的にみて、先進的で優れた習慣でした。出版から100年以上の経過がありますので、オリジナルの方の著作権はありません。しかし、絵葉書などに作り直した質のよいコピー版が発売されていて、形式上,、発行元のクレジットが有ります。この対応が厄介です。発行元を参考事項に含めておくのは丁寧な対応です。コンピュータ処理で作成した小寸法の画像(サムネイル)に変えたものは、画質が低くなっていますので、物理的に拡大して再利用する目的には向きません。郵便切手は有価証券です。消印が有る使用済みのもの、また再現しても利用できないように画質を落としたもの、斜めの線などで汚したものなどは、コピーが黙認されています。サムネイルをクリックすると、質の良い大きな画像にアクセスするようにシステムを構成することができますが、クレジットの許諾が得られていない場合にはアクセスできないようにします。

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