6.3 綴りリベットに作用する力の計算

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 組み合わせ部材では、単なる部材の綴じ合わせの目的だけで使い、荷重が作用しないと思われ易いリベットがあります。特に、曲げ部材では、せん断力の伝達を司るリベットを考えるときにこの誤りを犯し易いようです。リベット構造で曲げ部材を構成するとき、フランジは、通常、2本の山形鋼とカバープレートとが使用されます。ウエブとの接続に使用するリベットがせん断力の伝達に必要です。リベット荷重の検証は次式で求めます。

ここで、
ρ: リベット荷重、
 : リベットピッチ、または1m当たりのリベット数の逆数、
 : フランジ部分の断面1次モーメント、
 : 曲げ部材の断面2次モーメント、
 : せん断力

 同じようにカバープレートと山形鋼との連結リベットにもせん断力が作用しますが、この部分はウエブとの連結よりもリベット列が増し、山形鋼の断面1次モーメントが減るのであまり問題にはなりません。桁高の高いウエブは、腹板を水平に添接する必要がありますが、この場合の計算も同じです。

 当然のことながら、極端に大断面のカバープレートを設計しますと、ウエブとの取り付けのリベット荷重が大きくなるので好ましくありません。また、その上に作用する直接、間接の過重による垂直力や、フランジ部分がウエブに曲げを与える、などの影響が出てきます。このため、鉄道橋ではカバープレートの断面積は、フランジ山形鋼断面積の2倍を超えないように制限しています。カバープレートに流入するせん断力の分布を円滑にするため、計算上の断面変化点から、少なくとも400mmの余長を取るように鉄道橋は規定しています。この考え方は、4.6節で解説した圧縮材端の最大リベット間隔の考え方と同じです。


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