3.5 階段状の継手(二枚以上の板をつなぐ場合)

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図11 階段状の重ね継手
 リベット構造物では、大きな断面を必要とするとき、二枚以上の板を重ねて使います。この部材を一箇所で添接するとなると、添接板が大きくなり過ぎ、また全体の板厚の合計が大きくなって、リベットの働長も長くなります。これを避けるため、添接板の数を減らし、添接板の増加を抑えるようにします。具体的には、対称な階段状の重ね継手非対称な階段状の重ね継手とがあります(図11)。

図14 階段状の添接を応用したガーダーの継手
 対称な階段状の重ね継手の原理は、要するに個々の板が独立に添接板を持つものですが、一番上層の板の添接板だけが外にはみ出します。非対称な階段状の重ね継手は、対称な継手を半分にした形になっていて、継手の全長を幾らか短くできます。しかし、力の流れは対称な継手のようには簡単に説明できません。力の伝わり工合は、左側からくる板が、それぞれ直ぐその上に重なった板に力を伝え、最上層の板だけが添接板に力を伝えます。添接板に伝わった力は、要するに右側の板の最下層まで力を伝えなければなりません。この際、添接板と最下層との間に二枚の板を挟みますので、間接添接になっていて、板一枚を隔てるごとにリベット本数を30%増します。

図15 組み合わせ引張(圧縮)材とガセットプレートとの連結
 継手の形式として、櫛の歯のように板を噛み合せて重ねる構造も考えられますが、リベット作業の実際から見ると実用になりません。左右からくる板群を無理なく重ね、添接板を当てて全体をリベット締めしますが、あらかじめ打ってあるリベット(工場リベット)との区別を考えなければなりません。なお、階段状につなぐ場合には、3.1節で述べたリベット列の力の分布の性質からも分かるように、リベット荷重の集中を避けるのにも役立っています。



図16 二枚のガセットプレートによる連結の一例


図17 圧縮材の添接の一例

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