2.2 せん断強度と支圧強度

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図2 リベットおよび板の破壊形式
 リベット継手の強度は、主として実験的な事実を元にして、前記の三つの応力がどのような大きさのときに継手の破壊が生じるか、ということで考えます。これらの吟味をする上で、以下に示す数値が相互に関係してきます。

1)板厚 t がリベット径 d より充分大きい場合:
 リベット継手は、リベットがせん断されて破壊しますので、リベット材のせん断強度を元にしてリベット継手を設計します。これを、せん断強で設計するといいます。リベット用鋼材のせん断強度τyは、多くの実験をもとに式(2)で計算すると、リベット材の引張試験の降伏点強度σyの0.7〜0.9倍と得られています。この強度は、材料の理論的な推定せん断強度(05〜0.6σy)より大きく現れます。

2)板厚 t がリベット径 d よりも充分小さい場合:
 板厚が相対的に薄ければ、板の方の支圧強度の方が低くなりますので、この場合には支圧強で設計することになります。支圧とは、ある面積全体に対して部分的な場所に圧縮力が作用することを指します。板幅bに対してリベット径の投影面積が小さいので、式(1)で計算した支圧強度は、板材料の降伏点強度σyの1.6〜2.5倍になります。


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